なんの前触れもなく、突然襲ってくる言葉にできない痛み。なんで自分がこんな目に! なんて考えてしまうでしょう。痛風はある日突然やってきます。けれど、ちょっとの知識があれば、それが痛風の痛みだということがすぐにわかります。
多くは足の親指の付け根に痛みが出て、触ることも歩くことも、ままならなくなってしまいます。どうしてこんな痛い思いをするのだろう……疑問に思うでしょう。原因を知ることによって、きっと思い当たる節があるはずです。原因なくして結果は出ません。
日本で痛風患者が現れ始めたのが明治の頃。それでも知られた病気ではなく、滅多にないものでした。食が豊かになった現代において、年齢を問わず増えてきた病気です。では、世界的に見てみるとどうなのでしょうか。西洋の歴史から見ると、痛風はかなり古くからある病気だったことが分かります。
エジプトで発掘されたミイラに、痛風であったことを示す関節内の尿酸塩が発見されています。歴史上の人物、アレクサンダー大王や、ローマ帝皇帝カルロス5世、ルイ14世、レオナルド・ダ・ビンチ、ダンテ、ミケランジェロ、ニュートン、ゲーテ、ダーウィンなど、有名人だけでこれだけいるのですから、西洋全体で見るとかなりの人数が痛風に苦しんだのでしょう。
やはり食の違いからきており、日本の食事情も西洋化するにつれて、痛風患者が徐々に増えてくるのです。そして現代、痛風は年齢を問わず、若い年齢層でも発症する人が増えてきました。20代前半でも痛風に苦しんでいる人は大勢いる時代になってしまったのです。
痛風は9:1の割合で、圧倒的に男性患者の方が多いのが実態です。それはどうしてなのでしょうか。これにはハッキリとした根拠があります。痛風の原因となるのが、尿酸値があがってしまうことにありますが、女性の方が血清尿酸値と呼ばれる尿酸の血液の中の濃さが男性よりも低いからなのです。
女性ホルモンには尿酸を対外に排出する働きがあり、このことから、男性の方が痛風になる割合が高くなるのです。こればかりではなく、条件に違いも出てきます。痛風の発作が起こるのは、血清尿酸値が7.0mg/dlを越えた状態を数年間持続しなければ起こらないのですが、この境界線でもある7.0mg/dlに男性が到達するまで、健康であった頃から1.5mg/dlあがると簡単に超えてしまうのですが、女性の場合は、3.0mg/dlも数値があがらなければ境界線の数値まで到達しないのです。ですから女性の方が痛風になりにくいのです。